Web会議システムやビジュアルコミュニケーションツールを主力とするIT企業である株式会社ブイキューブ様。上場企業として財務報告や投資家対応のほか、戦略的M&Aを実施しています。スピード感のある意思決定を行うため、経営管理の効率化と人員計画の最適化を目的に、Loglass 経営管理とLoglass 人員計画を活用いただいています。
今回は「当社は複雑なビジネスモデルを持つ企業です。各事業の収益性を正確に把握し、迅速な意思決定を行うことが競争力の源泉となります」と語るCFO・山本様と「経理の数字整理のサポートのほか、データを活用した新規事業の立ち上げも進めており、全社的なデータ活用の基盤作りが急務でした」と語るCDO(チーフデータオフィサー)・花輪様にお話をお伺いしました。
取締役CFO・経営企画本部 本部長 山本様
CDO 花輪様
山本氏:最大の課題はスプレッドシートの乱立によって、事業の実態が詳細に把握できないため会社のポートフォリオが描きづらい状態だったことでした。当社は事業部ごとにPLを作っているのですが、計画が頻繁に変更されるためどの見通しが最新のものかひと目でわかりづらく、各部門のスプレッドシートを統合する時間がかかっていたことが原因だと考えていたんです。
いわゆる連邦制のような形だったため、共通費用の考え方や兼務の人件費のあり方も統一されておらず、どの事業でどれだけ利益を上げているのかが見えにくい状況もあったので、これらの課題を一気に解決するために、Loglassの導入を検討しました。
山本氏:対比表機能や配賦機能が、当社の課題解決に適していると直感的に感じました。これなら各ビジネスの収益性を可視化できると思ったんです。類似サービスも検討しましたが、Loglassほどマッチするものは見つかりませんでした。
花輪氏:私も同感です。他のツールは機能が多すぎて、当社のビジネスモデルや管理手法に適用するのが難しそうだなと感じましたね。その点、Loglassは私たちのニーズにピッタリ合っていると感じました。また、導入までスピードも早そうな点が魅力でした。
花輪氏:最も苦労したのは、データの整理でした。Loglassは一定のルールに従ってデータを入力する必要があるため、既存のデータを整理し、クリーンアップする作業に時間がかかりました。
あとは組織全体への説明も丁寧に行いましたね。各部門に今まで計上されていなかったコストがなぜ割り当てられているのか、を理解してもらった上で正しいセグメントPLを見られる環境を作りたかったんです。
山本氏:導入のタイミングで、セグメント別のPLが正しく見えるようにするため、データエントリーのルール整備やマスターの整理なども行いました。確かに作業は大変でしたが、結果的には自社の管理会計のあり方が整理され、導入の効果を最大化するために必要な過程だったと思います。
山本氏:「データの統合と可視化ができたこと」が一番大きな効果です。各事業部のPLの合計が財務会計のPLと合わないという問題がありましたが、セグメント別の最終利益まで正確に把握できるようになりました。
花輪氏:私が印象的だったのは、組織全体の会計リテラシーの向上です。導入から1年が経ち、各部門の方々が自分たちのコストや収益について深く理解するようになりました。これは単なるシステム導入以上の効果だと感じています。
また、定量的な部分で言うならば、作業時間の大幅な削減を挙げたいと思います。具体的な測定はしていませんが、各部門で個別に作成していた作業がほぼなくなりました。
山本氏:CFOの私から見える業務効率化として、以前は取締役会の資料作成に多くの時間を費やしていましたが、今はレポート機能を使って数字を確認し、コメントを追加するだけで済むようになったというのは大きな変化だなと思っています。
花輪氏:当社はIT企業なので、コストの中で最も大きいのは人件費です。そのコントロールが利益創出の重要なポイントだと認識していました。特に社長の高田が人件費の可視化と最適化をしたいと強く思っていたという部分もあり、導入を決定しています。
山本氏:具体的に弊社が抱えていた人件費に関する課題として、給与に関するデータの粒度が荒く容易に分解できないというものがありました。部門ごとの人件費が正確に把握できず、必要な情報を取り出すのに手作業で個人個人の給与台帳にあたる必要があったんです。
また組織変更が頻繁にあるため、その度に人事データと給与データの整合性を取れなくなってしまい都度更新が必要で、人件費を見るために工数をかけている現実がありました。
花輪氏:以前は散在していた人事データと給与データが、Loglass上で統合されました。これにより、組織変更があっても、データの整合性を保ちやすくなりました。
そして、少しずつではありますが、人事部門における採用プロセスの改善を行っています。以前は各部門が個別に人材要求を出していましたが、現在は人事部門が全社の人件費をコントロールしながら、戦略的に採用を行える体制に変更しました。これは「Loglass 人員計画」採用予定の人員も含めてマスタ管理をすることで、人件費の確認が簡単にできる点が大きく寄与していると思っています。
山本氏:また、部門別、職種別の人件費が正確に把握できるようになったことで、より戦略的な人員配置が可能になりました。例えばですが、「A事業でメンバーの生産性がこれくらいで、B事業ではこれくらい」といった具合に、横並びで比較できるんです。セグメントごとや職種ごとの人件費の生産性を比較し、成長している事業にはどのようにリソースを配分すべきかなど、より戦略的な人材配置をデータに基づいて検討できるようになりました。
山本氏:まず短期的には、現在の運用の精度を上げていきたいと考えています。
中長期的には3つ、実現したいことがあります。
1つ目は連結ベースでの管理です。現在は単体での管理が中心ですが、グループ全体の経営管理にも活用していきたいです。2つ目は財務三表のモニタリング。そして3つ目はROIC(投下資本利益率)管理です。ソフトウェア開発投資が多い当社にとって、BSとPLをリンクさせたうえでの詳細分析は実現したい重要な要素ですので、Loglassの機能追加を楽しみに待ちたいですね。
花輪氏:人的資本の開示への活用もしたいと考えています。当社は既に情報開示を行っていますが、「Loglass 人員計画」を活用してより多くの情報を提供できるのではないかと思っています。