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電子部品の研究開発・製造を中心にグローバルで事業を展開し、連結売上高1兆円規模を誇る株式会社村田製作所。同社は長期構想「Vision2030」のもと、「Global No.1部品メーカー」を目指し、全社変革プロジェクト「MDX」を推進。MDXの重要戦略は、デジタル活用による「自律分散型組織運営」への転換であり、「データがつなぐハイサイクル組織」への進化が求められています。
この戦略において、経営管理領域でのExcel依存によるIT投資管理の負荷と、投資対効果の不可視化が課題でした。迅速な意思決定を支えるデータ基盤構築が急務となる中、IT投資管理業務の仕組みとして「Loglass 経営管理」を導入。その結果、集計工数の大幅削減や予算案の精度向上、期中見通しの可視化による柔軟な予算配分など、運用面と経営判断の双方で成果が生まれました。
今回は導入を主導された企画推進課のお二人に、導入背景、工夫、成果、今後の展望についてお話を伺いました(2025年11月取材)。
ITビジネスエンジニアリング統括部 IT DX戦略企画部 企画推進課 シニアマネージャー 田伏 様
ITビジネスエンジニアリング統括部 IT DX戦略企画部 企画推進課 シニアスペシャリスト 吉田 様

吉田様:Vision2030を一言で表すと「今を支え、未来を切りひらき、社会と調和する、Global No.1部品メーカーを目指そう」という構想です。この理想像を実現するための経営改革として重要視されているのが「自律分散型の組織運営の実践」であり、そのために組織・社員が「自律性・全体性・進歩性」という3つの視点を兼ね備えるべきと考えています。
組織・社員が自律的に動き、個別最適ではなく全体最適を志向し、そして変化に対応しながら前進していくためには、デジタル技術やデータを積極的に活用していく必要があり、今回の「Loglass 経営管理」の導入もVision2030の文脈に一致していると考えています。
田伏様:一方のMDXとは、社内外の人や組織をデジタルで縦横無尽につなぎ、あらゆるプロセスを短縮・可視化することで、顧客価値と競争力を向上させる取り組み、と定義しています。データ活用を通じてデジタルとリアルの世界を積極的に行き来しながら、各自が迅速に意思決定していくハイサイクルな組織を指しており、この積み重ねが自律分散型組織の実現につながっていくという考え方です。
吉田様:私たちのIT投資管理業務の中心にあるのは、年1回の年度予算策定です。私たち情報システム部門の予算は、経営の視点でそのまま村田製作所グループ全体のIT投資として位置づけられており、Vision2030の実現に向けた重要な役割を担っています。
以前はその予算をすべてExcelで管理しており、年に1回の予算策定そのものは正味2週間ほどではあるものの、その後の修正や差し戻しを含めると1ヶ月程度は対応に追われている感覚です。具体的には、数十の課から「出張費」「人件費」など4種類のExcelファイルを提出してもらい、合計100ファイル以上を手作業で統合するフローを経て、1つの報告書に集約していました。
吉田様:年度予算策定の時期になると、数十の課からExcelファイルを提出していただくのですが、「このフォーマット通りに入力してください」とお願いしても関数を上書きされてしまったり、不要な勘定科目を勝手に追加されてしまったり、自由度の高いExcel特有の問題が発生していました。結果、私たちのデータチェック作業に時間がかかっていたのです。
さらにITサービス単位・プロジェクト単位で数字を集計しても、その総額が数百億円もの規模になると、経営層にとってその金額が投資対効果の観点で適切か、経営戦略に沿っているかまでは分からず、結果として妥当な投資であるかどうかを判断しづらいという課題もありました。
また、弊社のIT投資は経営戦略と照らし合わせて「①戦略的投資・②価値創出につながる投資・③定常運用的な投資」の大きく3つに分類されているのですが、当時は大まかな分類こそできていたものの、システム開発費や運用費、外注費などの内訳まで細かく検討できるほど、費目の可視化ができていなかったのです。
田伏様:データ精度の課題に加え、サービス領域別や勘定科目別など、複数の視点から包括的に分析できる環境も不足していました。当社では常時およそ1,000件ものプロジェクトが進行しており、中には2035年まで続くような長期プロジェクトも存在します。これら膨大なプロジェクト数をExcelで管理すること自体が限界に達していました。
目指しているのは、すべてのプロジェクトの予実を精緻に把握し、投資分類ごとに投資金額を最適化し、投資判断を高度化していくことです。そのなかには開発体制の見直しといった現場に直接影響する意思決定はもちろん、IT投資が狙い通りの成果を生んだのか、必要な投資だったのかをROIの観点から判断できる状態にすることが最終的なゴールです。

吉田様:経営管理ツールは前任者が主導して比較検討を実施しており、主にインターネット上から情報を収集していました。重視したのは「現場の運用を変えないこと」です。IT部門全体で1,000名弱もの担当者が予算入力に関わっているため、新しいツールの操作や入力ルールを習得させるのは現実的ではありません。そのため「既存のExcelフォーマットをそのまま取り込めること」を必須条件として検討しはじめ、「Loglass 経営管理」を含む3つのサービスで比較検討しました。
その上で「Loglass 経営管理」導入の決め手がノーコードで設定できること、コーディングはほぼ不要という点でした。他社ツールの場合は一部当社にあわせた開発が必要であり、導入・運用コストが高くなってしまいがちでした。また、検討当時は予算策定の時期を控えたタイミングということもあり、予算策定が行えることはもちろん、次年度の予算策定業務に間に合うために導入のスピーディさ、簡単さもポイントでした。
田伏様:検討期間は、感覚的にとても短かったと思います。9月キックオフから約3ヶ月で本番稼働にこぎ着け、同年12月には運用スタートすることがマストでしたので、意思決定や決裁はスムーズに通っています。担当の方からも「3ヶ月あれば、何とかできます」との心強い説明をいただきました。
村田製作所グループの社風としてトライを歓迎する土壌があったこと、現状のExcelベースの予算管理では、妥当な投資であるかどうかを判断しづらいという課題と、費目単位の可視化ができていないことに決裁者が危機感を抱いていたことが、スムーズな「Loglass 経営管理」の導入を後押しする要因になりました。最終的には8月に導入の決裁を行い、9月にキックオフを実施するスケジュールで「Loglass 経営管理」の導入をスタートさせました。

吉田様:12月からの次年度予算の策定に向け、カスタマーサクセス担当の方と週1回の定例会を実施させていただきました。一般的にパッケージソフトの導入では、既存の業務プロセスとシステムの仕様が合わず、その調整に時間を要するケースが少なくありません。
「Loglass 経営管理」の導入でも「どこをパッケージの標準機能に合わせるか」「どこを運用でカバーするか」という判断が求められましたが、定例会での議論を通じてスムーズに最適解を見つけることができました。担当の方は、少し説明するだけでこちらの状況を理解いただける方が多く、管理会計とサービスに対する理解がとても深いのだと感じました。
もうひとつ「Loglass 経営管理」の導入にあたって進めたのが、私たちにExcelを提出する数十の課に対する説明です。対象者に向けて説明会を実施したものの、Excelへ数字を入力して私たちに提出する点は従来どおり、提出する方法がメール送付から「Loglass 経営管理」へのアップロードに変更になっただけなので担当者からの反発もなく、最小限の説明で済みました。
吉田様:「Loglass 経営管理」はデータ集計の基盤として活用し、Excelから集約したデータやマスタ情報を一元化管理し、データを可視化、分析するために導入したBIツールにデータを渡す処理の中核を担っています。そのため、「Loglass 経営管理」の導入にあたって意識したのは、経営層が求めるデータが、求められる状態でBIツール上に可視化できるようにデータを整理することでした。
具体的には、どのプロジェクトが「戦略投資」や「定常運用」といった投資分類のどこに属するのか、予算規模はどの程度が妥当か、といった判断ができるよう分類体系や集計方法を「Loglass 経営管理」上で整理しています。その他にも「ITサービス別・プロジェクト別・取引先別・予算ナンバー」といった基本的なマスタに加え、費用の配賦に関するマスタも付与しています。これらはすべて「Loglass 経営管理」に登録し、そのままBIツール上で表示し、分析しています。
一方、運用でカバーしているのは「Loglass 経営管理」からBIツールへのデータの受け渡しです。手動でテキストファイルでデータを落としてBIツールにアップロードしているのですが、データは抜き出しやすく、BIツール上で加工しやすい構造になっているため、不便さは感じません。

吉田様:最も分かりやすい成果は、集計スピードの向上です。以前は予算の集計に2週間ほどかかっていましたが、今は「Loglass 経営管理」にデータを入れてPower BIに吸い上げるだけですので、集計そのものは15分あれば十分になりました。Excel集計で課題に感じていた、数字のミスを防ぐためのデータチェックの作業工程が必要なくなり、次年度予算を策定する期間を延ばすことができています。結果として、以前は2週間程度かけて作っていたところ、現在では1ヶ月ほどかけて検討してよいという運用に変わっています。
田伏様:各課が予算案の作成に時間をかけられるようになったことで「この費用の金額は高すぎないか」「外部委託費の水準は本当に妥当だろうか」「戦略的にもっと効率的なやり方がないか」といった議論が活発になっています。おかげで予算案の精度も上がっているように感じています。
吉田様:また、Excel集計の負荷という観点では、私たちの作業はほとんどなくなりました。「Loglass 経営管理」では予算データと各種マスタがしっかり連動しており、マスタに存在しない勘定科目はそもそも入力できませんし、マスタを誤って消すこともできないなど、一定の制約が効果的です。おかげでデータの精度が担保され、Excelのように関数や勘定科目を勝手に上書きされてしまうリスクもなくなりました。
吉田様:年に一度予算を策定するというサイクルは変わっていませんが、期中に発生した予算案の変更を「Loglass 経営管理」に反映することにより、週1回の頻度でアップデートできるようになりました。以前は予算と実績しか管理しておらず、「期中に数字を変更して報告する」という考えはありませんでした。
しかし現在では、プロジェクト別に着地見込みや見通しを可視化できるようになり、このまま期末までいけば最終的に予算消化率何%あたりで着地するのかまで把握できるようになっています。おかげで、予算に対してどれくらいの余裕があるのかを確認しながら「少し枠が空いているので、このプロジェクトに予算を回そう」「予算がオーバーしそうだから、この案件は抑えたほうが良い」といった柔軟な判断ができるようになりました。
こうした意思決定は統括部長が最終的に判断するのですが、現場や部門の全社員1,000名弱にもBIツールのアカウントを付与しているため、社員の誰もが予算消化率といった数字を確認できています。これは現場の社員にもしっかりコスト意識を持ってもらいたいという統括部長の思いからです。
田伏様:「①戦略的投資・②価値創出につながる投資・③定常運用的な投資」の枠別に予算を比較できるようになったことが高評価です。「自部門の今の予算進捗を、どんなタイミングでも最新の数字を確認できる」ことはもちろん、報告前に認識を合わせる際も、全員が「Loglass 経営管理」上で同じ数字を見て話ができるようになりました。
また、「どこに予算を重点配分するか」「どのプロジェクトを継続・中止するか」といったIT投資のポートフォリオを検討する専門チームも、その判断材料として「Loglass 経営管理」のデータを活用しています。経営判断の場面でも、枠別・プロジェクト別などの詳細な数字がすぐに出せるようになったことで、議論の質は確実に変わってきていると感じています。

吉田様:「Loglass 経営管理」の導入からまだ日が浅いのですが、今後データが蓄積されていくことで過年度の比較が可能になり、年ごとの変化から何か新たな示唆が得られるのではないかと期待しています。
また、当社には長期にわたるプロジェクトが多数あるのですが、現状は単年でしか予算を管理できていません。そこで「Loglass 経営管理」を活用し、中長期の予算を一気通貫して管理できるような仕組みを構築していく必要があると感じています。簡単なことではありませんが、将来的には取り組みたい施策ですね。
田伏様:全社的にMDXを推進していく中で、IT投資とそれによる効果をどこまで紐づけられるのか、つまりROIの指標を可視化していくことが重要だと考えています。IT投資管理では、どうしてもコストばかりに注目してしまいがちですが、経営判断はコストだけでなく、IT投資後の変化を含めてトータルで判断していかなければなりません。そうした「攻めのIT投資」の判断に必要な数字を可視化していきたいと考えています。
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吉田様:Vision2030を一言で表すと「今を支え、未来を切りひらき、社会と調和する、Global No.1部品メーカーを目指そう」という構想です。この理想像を実現するための経営改革として重要視されているのが「自律分散型の組織運営の実践」であり、そのために組織・社員が「自律性・全体性・進歩性」という3つの視点を兼ね備えるべきと考えています。
組織・社員が自律的に動き、個別最適ではなく全体最適を志向し、そして変化に対応しながら前進していくためには、デジタル技術やデータを積極的に活用していく必要があり、今回の「Loglass 経営管理」の導入もVision2030の文脈に一致していると考えています。
田伏様:一方のMDXとは、社内外の人や組織をデジタルで縦横無尽につなぎ、あらゆるプロセスを短縮・可視化することで、顧客価値と競争力を向上させる取り組み、と定義しています。データ活用を通じてデジタルとリアルの世界を積極的に行き来しながら、各自が迅速に意思決定していくハイサイクルな組織を指しており、この積み重ねが自律分散型組織の実現につながっていくという考え方です。
吉田様:私たちのIT投資管理業務の中心にあるのは、年1回の年度予算策定です。私たち情報システム部門の予算は、経営の視点でそのまま村田製作所グループ全体のIT投資として位置づけられており、Vision2030の実現に向けた重要な役割を担っています。
以前はその予算をすべてExcelで管理しており、年に1回の予算策定そのものは正味2週間ほどではあるものの、その後の修正や差し戻しを含めると1ヶ月程度は対応に追われている感覚です。具体的には、数十の課から「出張費」「人件費」など4種類のExcelファイルを提出してもらい、合計100ファイル以上を手作業で統合するフローを経て、1つの報告書に集約していました。
吉田様:年度予算策定の時期になると、数十の課からExcelファイルを提出していただくのですが、「このフォーマット通りに入力してください」とお願いしても関数を上書きされてしまったり、不要な勘定科目を勝手に追加されてしまったり、自由度の高いExcel特有の問題が発生していました。結果、私たちのデータチェック作業に時間がかかっていたのです。
さらにITサービス単位・プロジェクト単位で数字を集計しても、その総額が数百億円もの規模になると、経営層にとってその金額が投資対効果の観点で適切か、経営戦略に沿っているかまでは分からず、結果として妥当な投資であるかどうかを判断しづらいという課題もありました。
また、弊社のIT投資は経営戦略と照らし合わせて「①戦略的投資・②価値創出につながる投資・③定常運用的な投資」の大きく3つに分類されているのですが、当時は大まかな分類こそできていたものの、システム開発費や運用費、外注費などの内訳まで細かく検討できるほど、費目の可視化ができていなかったのです。
田伏様:データ精度の課題に加え、サービス領域別や勘定科目別など、複数の視点から包括的に分析できる環境も不足していました。当社では常時およそ1,000件ものプロジェクトが進行しており、中には2035年まで続くような長期プロジェクトも存在します。これら膨大なプロジェクト数をExcelで管理すること自体が限界に達していました。
目指しているのは、すべてのプロジェクトの予実を精緻に把握し、投資分類ごとに投資金額を最適化し、投資判断を高度化していくことです。そのなかには開発体制の見直しといった現場に直接影響する意思決定はもちろん、IT投資が狙い通りの成果を生んだのか、必要な投資だったのかをROIの観点から判断できる状態にすることが最終的なゴールです。

吉田様:経営管理ツールは前任者が主導して比較検討を実施しており、主にインターネット上から情報を収集していました。重視したのは「現場の運用を変えないこと」です。IT部門全体で1,000名弱もの担当者が予算入力に関わっているため、新しいツールの操作や入力ルールを習得させるのは現実的ではありません。そのため「既存のExcelフォーマットをそのまま取り込めること」を必須条件として検討しはじめ、「Loglass 経営管理」を含む3つのサービスで比較検討しました。
その上で「Loglass 経営管理」導入の決め手がノーコードで設定できること、コーディングはほぼ不要という点でした。他社ツールの場合は一部当社にあわせた開発が必要であり、導入・運用コストが高くなってしまいがちでした。また、検討当時は予算策定の時期を控えたタイミングということもあり、予算策定が行えることはもちろん、次年度の予算策定業務に間に合うために導入のスピーディさ、簡単さもポイントでした。
田伏様:検討期間は、感覚的にとても短かったと思います。9月キックオフから約3ヶ月で本番稼働にこぎ着け、同年12月には運用スタートすることがマストでしたので、意思決定や決裁はスムーズに通っています。担当の方からも「3ヶ月あれば、何とかできます」との心強い説明をいただきました。
村田製作所グループの社風としてトライを歓迎する土壌があったこと、現状のExcelベースの予算管理では、妥当な投資であるかどうかを判断しづらいという課題と、費目単位の可視化ができていないことに決裁者が危機感を抱いていたことが、スムーズな「Loglass 経営管理」の導入を後押しする要因になりました。最終的には8月に導入の決裁を行い、9月にキックオフを実施するスケジュールで「Loglass 経営管理」の導入をスタートさせました。

吉田様:12月からの次年度予算の策定に向け、カスタマーサクセス担当の方と週1回の定例会を実施させていただきました。一般的にパッケージソフトの導入では、既存の業務プロセスとシステムの仕様が合わず、その調整に時間を要するケースが少なくありません。
「Loglass 経営管理」の導入でも「どこをパッケージの標準機能に合わせるか」「どこを運用でカバーするか」という判断が求められましたが、定例会での議論を通じてスムーズに最適解を見つけることができました。担当の方は、少し説明するだけでこちらの状況を理解いただける方が多く、管理会計とサービスに対する理解がとても深いのだと感じました。
もうひとつ「Loglass 経営管理」の導入にあたって進めたのが、私たちにExcelを提出する数十の課に対する説明です。対象者に向けて説明会を実施したものの、Excelへ数字を入力して私たちに提出する点は従来どおり、提出する方法がメール送付から「Loglass 経営管理」へのアップロードに変更になっただけなので担当者からの反発もなく、最小限の説明で済みました。
吉田様:「Loglass 経営管理」はデータ集計の基盤として活用し、Excelから集約したデータやマスタ情報を一元化管理し、データを可視化、分析するために導入したBIツールにデータを渡す処理の中核を担っています。そのため、「Loglass 経営管理」の導入にあたって意識したのは、経営層が求めるデータが、求められる状態でBIツール上に可視化できるようにデータを整理することでした。
具体的には、どのプロジェクトが「戦略投資」や「定常運用」といった投資分類のどこに属するのか、予算規模はどの程度が妥当か、といった判断ができるよう分類体系や集計方法を「Loglass 経営管理」上で整理しています。その他にも「ITサービス別・プロジェクト別・取引先別・予算ナンバー」といった基本的なマスタに加え、費用の配賦に関するマスタも付与しています。これらはすべて「Loglass 経営管理」に登録し、そのままBIツール上で表示し、分析しています。
一方、運用でカバーしているのは「Loglass 経営管理」からBIツールへのデータの受け渡しです。手動でテキストファイルでデータを落としてBIツールにアップロードしているのですが、データは抜き出しやすく、BIツール上で加工しやすい構造になっているため、不便さは感じません。

吉田様:最も分かりやすい成果は、集計スピードの向上です。以前は予算の集計に2週間ほどかかっていましたが、今は「Loglass 経営管理」にデータを入れてPower BIに吸い上げるだけですので、集計そのものは15分あれば十分になりました。Excel集計で課題に感じていた、数字のミスを防ぐためのデータチェックの作業工程が必要なくなり、次年度予算を策定する期間を延ばすことができています。結果として、以前は2週間程度かけて作っていたところ、現在では1ヶ月ほどかけて検討してよいという運用に変わっています。
田伏様:各課が予算案の作成に時間をかけられるようになったことで「この費用の金額は高すぎないか」「外部委託費の水準は本当に妥当だろうか」「戦略的にもっと効率的なやり方がないか」といった議論が活発になっています。おかげで予算案の精度も上がっているように感じています。
吉田様:また、Excel集計の負荷という観点では、私たちの作業はほとんどなくなりました。「Loglass 経営管理」では予算データと各種マスタがしっかり連動しており、マスタに存在しない勘定科目はそもそも入力できませんし、マスタを誤って消すこともできないなど、一定の制約が効果的です。おかげでデータの精度が担保され、Excelのように関数や勘定科目を勝手に上書きされてしまうリスクもなくなりました。
吉田様:年に一度予算を策定するというサイクルは変わっていませんが、期中に発生した予算案の変更を「Loglass 経営管理」に反映することにより、週1回の頻度でアップデートできるようになりました。以前は予算と実績しか管理しておらず、「期中に数字を変更して報告する」という考えはありませんでした。
しかし現在では、プロジェクト別に着地見込みや見通しを可視化できるようになり、このまま期末までいけば最終的に予算消化率何%あたりで着地するのかまで把握できるようになっています。おかげで、予算に対してどれくらいの余裕があるのかを確認しながら「少し枠が空いているので、このプロジェクトに予算を回そう」「予算がオーバーしそうだから、この案件は抑えたほうが良い」といった柔軟な判断ができるようになりました。
こうした意思決定は統括部長が最終的に判断するのですが、現場や部門の全社員1,000名弱にもBIツールのアカウントを付与しているため、社員の誰もが予算消化率といった数字を確認できています。これは現場の社員にもしっかりコスト意識を持ってもらいたいという統括部長の思いからです。
田伏様:「①戦略的投資・②価値創出につながる投資・③定常運用的な投資」の枠別に予算を比較できるようになったことが高評価です。「自部門の今の予算進捗を、どんなタイミングでも最新の数字を確認できる」ことはもちろん、報告前に認識を合わせる際も、全員が「Loglass 経営管理」上で同じ数字を見て話ができるようになりました。
また、「どこに予算を重点配分するか」「どのプロジェクトを継続・中止するか」といったIT投資のポートフォリオを検討する専門チームも、その判断材料として「Loglass 経営管理」のデータを活用しています。経営判断の場面でも、枠別・プロジェクト別などの詳細な数字がすぐに出せるようになったことで、議論の質は確実に変わってきていると感じています。

吉田様:「Loglass 経営管理」の導入からまだ日が浅いのですが、今後データが蓄積されていくことで過年度の比較が可能になり、年ごとの変化から何か新たな示唆が得られるのではないかと期待しています。
また、当社には長期にわたるプロジェクトが多数あるのですが、現状は単年でしか予算を管理できていません。そこで「Loglass 経営管理」を活用し、中長期の予算を一気通貫して管理できるような仕組みを構築していく必要があると感じています。簡単なことではありませんが、将来的には取り組みたい施策ですね。
田伏様:全社的にMDXを推進していく中で、IT投資とそれによる効果をどこまで紐づけられるのか、つまりROIの指標を可視化していくことが重要だと考えています。IT投資管理では、どうしてもコストばかりに注目してしまいがちですが、経営判断はコストだけでなく、IT投資後の変化を含めてトータルで判断していかなければなりません。そうした「攻めのIT投資」の判断に必要な数字を可視化していきたいと考えています。
