1968年の創業以来、50年以上にわたり商業施設の企画から開発、運営に特化した事業を展開する野村不動産コマース株式会社。全国107棟の商業施設運営を支える同社では、150件ほどのプロジェクトが常時並行稼働し、年間累計では約1,000件にのぼります。管理会計業務の複雑化に加え、コロナ禍には出社制限などにより、十分なコミュニケーションがとれないことによるリスクも顕在化し、脱属人化の必要性に迫られました。
こうした背景から同社では、プロジェクト単位の収支の可視化、操作性・引き継ぎの容易さ、既存フローとの親和性などから「Loglass 経営管理」の導入を決定し、新しい経営管理の基盤の整備に取り組んでいます。本記事では、導入を主導した経理部の皆さまに、導入の背景や運用の実際、得られた成果、そして今後の展望についてお話を伺いました(2025年10月取材時点の内容です)。
経理部 課長代理 小尾 勇太様
経理部 課長代理 鈴木 無為様
小尾様:弊社の管理会計業務では、社内14部店の予実管理を行っています。弊社の事業の多くは人が動くビジネスモデルのため、売上や粗利だけでなく、人件費の管理も重要となります。「どの部門が、どのプロジェクト・物件に、どれくらいのリソースを投下しているのか」といった観点から事業性をしっかり把握する必要があります。
また、弊社では、経理部が経営企画機能の一端を担っており、決算資料や予算策定の資料作成に加えて、経営判断に使われるコメントや示唆出しもしています。
弊社では5年以上にわたるプロジェクトも存在し、不動産事業ならではの中長期の収支管理と、過去案件との比較が重要になります。
小尾様:作業の効率化を実現し、そのうえで高い精度の資料作成を実現することを理想としていました。弊社ではプロジェクトごとに詳細な収支管理を行い、プロジェクトの課題の可視化に活用しています。収支管理の誤りは、経営判断の誤りに直結するため、私たちの資料には正確さが強く求められます。
こうした背景には、事業環境がめまぐるしく変化し、迅速な意思決定が求められる中で、数字を正しく把握し、判断材料として活用する“データドリブン”な意思決定の傾向が強まっているという事情もあります。
鈴木様:以前はデータ集計や加工にかなり手間と時間がかかっており、スピーディーな資料提出に苦戦していました。
要因として、プロジェクトの多さが挙げられます。弊社では、毎月150件ほどのプロジェクトが稼働しており、以前はその一つひとつをExcelで管理していました。しかし、データ量の増加により、PCの動作が重くなるなどの弊害や業務負荷の増大が生じていました。
また、前任者のマクロや関数の意図を一つひとつ辿らないと扱えないなど業務が属人化していたりメンテナンスにかかる工数も大きく、扱うデータ量が多いことから、ミスが発生しやすい状況が生まれていました。コロナ禍においては、出社制限などにより、十分なコミュニケーションがとれないことによるリスクも顕在化し、現状への問題意識が高まりました。
小尾様:最も重視したのは、「プロジェクトごとの収支管理」ができることです。前述の通り弊社ではプロジェクト単位で非常に細かく収支管理を行っています。経営判断にも使用する重要な指標であるため、この要件は必須でした。「Loglass 経営管理」はプロジェクトを分析軸として持たせることができ、膨大な数のプロジェクトを部署別などの切り口で集計しやすい点がフィットしたと感じています。
また、作業の属人化を防ぐため、直感的に操作できて引き継ぎが容易であることも重視しました。「Loglass 経営管理」はUIが分かりやすく、操作感がExcelに近い点も高評価でした。
そのほかには、「レポート機能」も評価しました。様々な切り口で分析資料を作成でき、経営層から急な依頼があっても即座に対応ができます。加えて、Excelでデータの入出力もできるため、事業部側に予算作成を依頼する際、「これまで通りExcelで提出してください」と言える点が、導入ハードルを下げるうえで大きなメリットでした。
小尾様:これまでExcelで対応していた業務に対して、新たにコストをかけてシステムを入れる必要があるのか、という声があがりました。Excelによる対応では、先に述べたようなデータ量の増加により、動作が重くなる現象や保存データの消失リスクがあり、安定的に業務を継続するためにシステム化が必須であることを一番に訴えました。
また、経営判断にデータを重視・活用する流れが強まるなかで、「Loglass 経営管理」を導入することで、よりスムーズかつ多角的な視点で資料提供ができるようになる、というメリットも合わせて説明しました。
小尾様:比較的スムーズに進められたと思います。もともと使ってきたExcelの資料、特に経営会議用の報告資料と「Loglass 経営管理」のデータを、できるだけシンプルなフローで紐づけることを意識しています。余計な加工の手間を加えず、「Loglass 経営管理」から出力したデータを取り込めば、そのまま既存のフォーマットに反映できる、という状態に近づけています。
そのため、以前の資料と比べてレイアウト自体が劇的に変わったわけではありませんが、「こんな切り口でもデータを集計してほしい」といった経営層からの依頼に対して、以前より容易に応えられるようになりました。具体的には、プロジェクト別の収支だけでなく、野村不動産グループ内の物件とグループ外の物件の収支を切り分けて見たい、施設の運営管理事業における基本報酬と、スポットで発生する追加報酬を分けて分析したい等、様々な切り口での依頼を受けています。
こうした依頼に対するレスポンスが早くなるにつれ、経営層だけでなく、話を聞いた事業部の部長からも次々と依頼が来るようになりました。また、業務の脱属人化も少しずつ進めており、まずは月次の報告書類の作成業務を中心にOJTを進めている最中です。
小尾様:導入初期の段階からこちらの要望や機能に関する意見をよく聞いてくださり、「こんな機能が実装されると嬉しい」とお伝えすると、すぐに機能改善や新機能リリースとして反映いただいたことをよく覚えています。
鈴木様:たとえば、「Loglass 経営管理」へのデータ統合の際、Excelのセル結合が反映されず手作業で対応していた箇所がありました。その点を担当者の方に相談したところ、後日、結合したままでも取り込めるように改善されていました。細かな部分ではありますが、こうした改善のおかげでスムーズに「Loglass 経営管理」を活用できていると感じています。
小尾様:事業部の部長クラスにアカウントを配布し、「これからは『Loglass 経営管理』でデータを確認してください」と展開した際、最初は「どうやって見ればいいのか分からない」という声もありました。そこで、従来のExcelと対比させながら「Excelよりも『Loglass 経営管理』で見るともっと見やすくなります」という形で案内しました。また、実際の操作画面のスクリーンショットを多用した独自マニュアルを作成し、社内イントラで公開しました。
使うメリットを理解いただき、操作のハードルを下げていくことで、少しずつ浸透させることができています。
小尾様:感覚としては、明らかに部長クラスの管理会計に対する関心が高まっています。象徴的なのが質問の量で、プロジェクト別・部署別の収支データをもとに「この数字の内訳はどうなっているのか」「このプロジェクトの収支は本当にマイナスなのか。そしてなぜなのか」といった問い合わせが以前よりも増えました。見られる数字と粒度自体はExcel時代から大きく変わっていないので、より簡単に数字を確認できるようになったことが管理会計への意識の高まりに繋がっているのだと思います。
また、それが「プロジェクトの事業性の経営判断」にも活かされています。例えば人件費が高騰する中で、将来的に収支の悪化が予想されるプロジェクトを、「Loglass 経営管理」の資料によってはっきり可視化できたケースがありました。そこから経営層の間で「収益の向上や新たな収益の獲得のための施策が必要である」との共通認識が生まれ、新たな施策が始まりつつあります。
こうした前向きな打ち手を検討するうえでも「Loglass 経営管理」で作成したデータが、中長期的な判断材料として重宝されています。
小尾様:以前のやり方では時間に余裕がなく、「まずは資料を完成させること」が目的化してしまうこともありましたが、いまでは報告資料そのものの見直しに着手する余裕が生まれました。
具体的な例として、予算と実績の差異要因の分析を行った上で、精度を高めた着地見込を報告資料に加えました。単に売上の計上月がずれているだけなのか、予算外の売上があったのかといった要素を分解して分析し、その結果を着地見込みに示せるようになっています。
その他にも「こういう見せ方のほうが分かりやすいのではないか」「役員が本当に知りたい数字はどれなのか」といった議論と考察に時間を割けるようになったのは、明確な変化だと思います。
小尾様: 弊社では、野村不動産グループにおける2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ ― 幸せと豊かさを最大化するグループへ ―」のもと、不動産開発および関連サービスを通じて、お客様の生活と時間に寄り添うことを大切にしています。その一環として、エンターテインメント領域におけるベニュー事業の推進など、ビジネスモデルの多角化を進めているところです。
このビジネスモデルの多角化を成功させるためには、今まで以上に多様なデータ活用が求められます。新規事業を展開する際には、採算性・収益性や既存の収支への影響をきちんと検証する必要があり、経理部としても単に数字を報告する役割ではなく、事業立ち上げの段階から積極的に関与し、「このままでは厳しい」といった提言を含め、データに基づいた意見と専門的な知見から貢献していきたいです。
小尾様:弊社の管理会計業務では、社内14部店の予実管理を行っています。弊社の事業の多くは人が動くビジネスモデルのため、売上や粗利だけでなく、人件費の管理も重要となります。「どの部門が、どのプロジェクト・物件に、どれくらいのリソースを投下しているのか」といった観点から事業性をしっかり把握する必要があります。
また、弊社では、経理部が経営企画機能の一端を担っており、決算資料や予算策定の資料作成に加えて、経営判断に使われるコメントや示唆出しもしています。
弊社では5年以上にわたるプロジェクトも存在し、不動産事業ならではの中長期の収支管理と、過去案件との比較が重要になります。
小尾様:作業の効率化を実現し、そのうえで高い精度の資料作成を実現することを理想としていました。弊社ではプロジェクトごとに詳細な収支管理を行い、プロジェクトの課題の可視化に活用しています。収支管理の誤りは、経営判断の誤りに直結するため、私たちの資料には正確さが強く求められます。
こうした背景には、事業環境がめまぐるしく変化し、迅速な意思決定が求められる中で、数字を正しく把握し、判断材料として活用する“データドリブン”な意思決定の傾向が強まっているという事情もあります。
鈴木様:以前はデータ集計や加工にかなり手間と時間がかかっており、スピーディーな資料提出に苦戦していました。
要因として、プロジェクトの多さが挙げられます。弊社では、毎月150件ほどのプロジェクトが稼働しており、以前はその一つひとつをExcelで管理していました。しかし、データ量の増加により、PCの動作が重くなるなどの弊害や業務負荷の増大が生じていました。
また、前任者のマクロや関数の意図を一つひとつ辿らないと扱えないなど業務が属人化していたりメンテナンスにかかる工数も大きく、扱うデータ量が多いことから、ミスが発生しやすい状況が生まれていました。コロナ禍においては、出社制限などにより、十分なコミュニケーションがとれないことによるリスクも顕在化し、現状への問題意識が高まりました。
小尾様:最も重視したのは、「プロジェクトごとの収支管理」ができることです。前述の通り弊社ではプロジェクト単位で非常に細かく収支管理を行っています。経営判断にも使用する重要な指標であるため、この要件は必須でした。「Loglass 経営管理」はプロジェクトを分析軸として持たせることができ、膨大な数のプロジェクトを部署別などの切り口で集計しやすい点がフィットしたと感じています。
また、作業の属人化を防ぐため、直感的に操作できて引き継ぎが容易であることも重視しました。「Loglass 経営管理」はUIが分かりやすく、操作感がExcelに近い点も高評価でした。
そのほかには、「レポート機能」も評価しました。様々な切り口で分析資料を作成でき、経営層から急な依頼があっても即座に対応ができます。加えて、Excelでデータの入出力もできるため、事業部側に予算作成を依頼する際、「これまで通りExcelで提出してください」と言える点が、導入ハードルを下げるうえで大きなメリットでした。
小尾様:これまでExcelで対応していた業務に対して、新たにコストをかけてシステムを入れる必要があるのか、という声があがりました。Excelによる対応では、先に述べたようなデータ量の増加により、動作が重くなる現象や保存データの消失リスクがあり、安定的に業務を継続するためにシステム化が必須であることを一番に訴えました。
また、経営判断にデータを重視・活用する流れが強まるなかで、「Loglass 経営管理」を導入することで、よりスムーズかつ多角的な視点で資料提供ができるようになる、というメリットも合わせて説明しました。
小尾様:比較的スムーズに進められたと思います。もともと使ってきたExcelの資料、特に経営会議用の報告資料と「Loglass 経営管理」のデータを、できるだけシンプルなフローで紐づけることを意識しています。余計な加工の手間を加えず、「Loglass 経営管理」から出力したデータを取り込めば、そのまま既存のフォーマットに反映できる、という状態に近づけています。
そのため、以前の資料と比べてレイアウト自体が劇的に変わったわけではありませんが、「こんな切り口でもデータを集計してほしい」といった経営層からの依頼に対して、以前より容易に応えられるようになりました。具体的には、プロジェクト別の収支だけでなく、野村不動産グループ内の物件とグループ外の物件の収支を切り分けて見たい、施設の運営管理事業における基本報酬と、スポットで発生する追加報酬を分けて分析したい等、様々な切り口での依頼を受けています。
こうした依頼に対するレスポンスが早くなるにつれ、経営層だけでなく、話を聞いた事業部の部長からも次々と依頼が来るようになりました。また、業務の脱属人化も少しずつ進めており、まずは月次の報告書類の作成業務を中心にOJTを進めている最中です。
小尾様:導入初期の段階からこちらの要望や機能に関する意見をよく聞いてくださり、「こんな機能が実装されると嬉しい」とお伝えすると、すぐに機能改善や新機能リリースとして反映いただいたことをよく覚えています。
鈴木様:たとえば、「Loglass 経営管理」へのデータ統合の際、Excelのセル結合が反映されず手作業で対応していた箇所がありました。その点を担当者の方に相談したところ、後日、結合したままでも取り込めるように改善されていました。細かな部分ではありますが、こうした改善のおかげでスムーズに「Loglass 経営管理」を活用できていると感じています。
小尾様:事業部の部長クラスにアカウントを配布し、「これからは『Loglass 経営管理』でデータを確認してください」と展開した際、最初は「どうやって見ればいいのか分からない」という声もありました。そこで、従来のExcelと対比させながら「Excelよりも『Loglass 経営管理』で見るともっと見やすくなります」という形で案内しました。また、実際の操作画面のスクリーンショットを多用した独自マニュアルを作成し、社内イントラで公開しました。
使うメリットを理解いただき、操作のハードルを下げていくことで、少しずつ浸透させることができています。
小尾様:感覚としては、明らかに部長クラスの管理会計に対する関心が高まっています。象徴的なのが質問の量で、プロジェクト別・部署別の収支データをもとに「この数字の内訳はどうなっているのか」「このプロジェクトの収支は本当にマイナスなのか。そしてなぜなのか」といった問い合わせが以前よりも増えました。見られる数字と粒度自体はExcel時代から大きく変わっていないので、より簡単に数字を確認できるようになったことが管理会計への意識の高まりに繋がっているのだと思います。
また、それが「プロジェクトの事業性の経営判断」にも活かされています。例えば人件費が高騰する中で、将来的に収支の悪化が予想されるプロジェクトを、「Loglass 経営管理」の資料によってはっきり可視化できたケースがありました。そこから経営層の間で「収益の向上や新たな収益の獲得のための施策が必要である」との共通認識が生まれ、新たな施策が始まりつつあります。
こうした前向きな打ち手を検討するうえでも「Loglass 経営管理」で作成したデータが、中長期的な判断材料として重宝されています。
小尾様:以前のやり方では時間に余裕がなく、「まずは資料を完成させること」が目的化してしまうこともありましたが、いまでは報告資料そのものの見直しに着手する余裕が生まれました。
具体的な例として、予算と実績の差異要因の分析を行った上で、精度を高めた着地見込を報告資料に加えました。単に売上の計上月がずれているだけなのか、予算外の売上があったのかといった要素を分解して分析し、その結果を着地見込みに示せるようになっています。
その他にも「こういう見せ方のほうが分かりやすいのではないか」「役員が本当に知りたい数字はどれなのか」といった議論と考察に時間を割けるようになったのは、明確な変化だと思います。
小尾様: 弊社では、野村不動産グループにおける2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ ― 幸せと豊かさを最大化するグループへ ―」のもと、不動産開発および関連サービスを通じて、お客様の生活と時間に寄り添うことを大切にしています。その一環として、エンターテインメント領域におけるベニュー事業の推進など、ビジネスモデルの多角化を進めているところです。
このビジネスモデルの多角化を成功させるためには、今まで以上に多様なデータ活用が求められます。新規事業を展開する際には、採算性・収益性や既存の収支への影響をきちんと検証する必要があり、経理部としても単に数字を報告する役割ではなく、事業立ち上げの段階から積極的に関与し、「このままでは厳しい」といった提言を含め、データに基づいた意見と専門的な知見から貢献していきたいです。
